2014年5月1日木曜日

本場アメリカのバスケを見たい [太田潮]

2013年度の翔学米生の太田君の渡航体験の概略を許可をもらって掲載させてもらいます。
2014年3月27日~4月2日までの約1週間、アメリカのフロリダ南部の各地に滞在してきました。移動がやや複雑だったので予め整理しておくと


【27日晩~28日朝】フォートラダデール(空港自体はマイアミ着)→【28日昼~31日朝】オーランド→【31日昼~4月2日朝】マイアミ→帰国


という流れになります。点線以下が体験記です。


インタビュアー:熊野川翔学米事務局 田斉省吾(早稲田大学3年)


--------------------------------------------------------------------------



――初めての海外渡航だったわけですけど、初日に面倒をみてくれたウェーバーさんがアメリカ人だということで緊張や不安はなかったですか。


いや英語に関しては別に出来るわけではないんですけど、特に心配はしていませんでしたね。それにウェーバーさんは学生の頃、関西大学に交換留学をしたことがあったらしく、多少日本語が分かるので助かりました。仮に英語がよく聞き取れなくても「○×▽、工業盛ん!」というように最後に日本語でワンフレーズを入れてくれたことが多かったのですが、それが要約になっていてだいたいの意味はとれました。


――マイアミから少し離れたフォートラダデールでウェーバーさんの家で一泊。それからオーランドに国内便で向かったわけですが、このオーランドでの滞在が長かったんですよね。


今回は、オーランドの小瀧さんのところに行けてよかった、ということに尽きますね。奥さんの絵美さんが日本人で、色々とアメリカ国内の土地柄の違いや絵美さん自身の来歴を聞かせてもらえて、情報量が全く違うものになりました。現地の人と英語で会話することに興味はありましたが、僕の場合は英語力を鍛えることが今回の主目的ではなかったので、小瀧さんの一家に滞在できる期間が数日あったことは僕にとってはとてもよかったです。
それに小瀧さんご一家はとても親切で、だいぶ希望に沿った活動をさせてもらえました。公園に行かせてもらって地元の若い人らとバスケをやったり、あるいはご主人のブレーディーさんがスポーツ万能な方だったので自ら付き合ってくれたり。外食も家庭のご飯も色々と美味しいものをごちそうになりましたし、アウトレットモールに連れて行ってくださったり、アメリカの国内便やNBAのチケット取得の手続きの確認を世話してくださったりもして有難い限りでした。




――あっ、オーランドで念願のストリートバスケデビューは果たせたんですね?


はい。最初は「お前が俺らとやるのか?」みたいな怪訝な態度をされましたけど、プレイする中で溶け込めました。オーランドで一緒にプレーした人はバリバリのバスケプレイヤーというわけではなかったので、レベル的に初めての他流試合としてはちょうどよかったかもしれないです。


――滞在した場所としてはオーランドでの時間が一番長かったと思いますが、何か印象に残っていることはありますか?


そうですね…。SONICというファーストフード店に連れて行ってもらった時のドライブスルーとか?日本ではドライブスルーの窓口って普通は1個ぐらいじゃないですか。それがそこでは店内で食べるところは多分なくて、ドライブスルーがメインで注文用の通信機器が10個ぐらい設置されているという具合でちょっと驚きました。それとスーパーのレジ。レジが1個だけとか軽い買い物をする人と10個とかまとまった量の買い物をする人別に分かれていて、日本の区分しないで受け入れる方式とどっちの方が効率がいいのかは分かりませんけど面白いと思いました。あと、これはオーランドのことではないんですが、ヒートの観戦前後にお世話になったアミさんに寿司をご馳走になった時のこと。いくらか候補を上げてもらって、僕に選ばせてもらえるということになったのですが、アメリカの寿司はどんなもんなんだろうかということがちょっと気になって寿司にしてもらったんです。そこで出てきたのが、巻きずしだったんですけど、エビとアボカドが巻き込まれていてそれにマヨネーズがベチャッとかぶさっていて、これは寿司と言えるのか?みたいな体験はしました。




――今回の主目的だったマイアミヒートの観戦はどうでしたか?


当初一人でチケットを取っていたのを、治安の問題上、同伴者がいたほうがいいだろうということで結局取り直すことになりましたよね。そこの席が結果的にはよくて、選手の入場ゲートのちょっと上で柵から手を出してハイタッチすることができる場所で新鮮な体験ができましたし、観戦する上でも悪い席ではなかったのですごく楽しめました。


――純粋に大ファンのマイアミヒートのゲームを現地で観戦したいということに加えて、夏の大会に向けて得られることがあれば自身やチームに還元したいというようなこともプレゼンテーションの時に述べてくれてたように記憶しているんですが、プレー面で参考になるところはありましたか?


う~ん、プレーも生で見れてもちろんよかったんですけど、むしろ参考になったのはプレー外の動きですかね。タイムアウトを取るタイミング・雰囲気であったり、ベンチでの声かけ等々、個人的な気持ちの持ち用といったところに関して参考になるところが多々ありました。日本でもNBAの試合は見るんですが、そういうところってCMでカットされたり、試合の放映中でも一部分しか映し出されていなかったりするんです。そういう意味ではCMとかのカットなしで、試合全体を、最後の大会前に見れて来れたのはよかったなと。今言ったようなことは帰ってから早速実践しましたし、チーム内にも積極的に共有しました。参考ってところからは脱線しますけど、試合の合間合間にイベントがちょこちょこ挟まれて行われているのも初めて知りました。ファンの一般人がお相手にサプライズプロポーズをするなんて一幕があって面白かったですね。


――あぁ、なるほど。見る人が見るとそういう見方も出来るんですね、面白い。観戦後はマイアミ近郊在住のアナさんにお世話になった。


はい。正確にいうと、オーランドからマイアミに移動したときに出迎えに来ていただいてそこからお世話になっていました。先ほどのアメリカ寿司の話はその直後の出来事です。


――アナさんは確か日本語は全く話せない方でしたよね。意思疎通は一番難しかったんじゃないですか。


いや、そうでもなかったです。多分、あちらも僕がそこまで英語が流暢にしゃべれないことを見越して、噛み砕いた内容でゆっくりしゃべってくれていました。ウェーバーさんや小瀧さん同様、アナさん一家もよくしてくれたことに変わりはなくて、僕の興味を汲んでシューズショップに連れて行ってくださったりしました。まぁ、一家でご飯を囲んだ時にパスタが出た時があって、僕は日本ではずるずるはしたなく食べているのを、皆フォークとスプーンをうまく使って食べていて、ひかれてしまわないようにスマートに食べるのに苦労したことはありますが、苦労といってもその程度のものでしたね。
それとアメリカを発つ前の最後の1日に関してもずっとアナさんと付きっきりだったわけではないんです。というのも、アナさんの娘さんのボーイフレンドにスポーツジムのようなところに連れて行ってもらったんですけど、日中はそこでもバスケをすることができました。そこで一緒にプレーしたのはスキンヘッドで超筋肉質のいかにもできるなっていうような風貌の人で、実際上手かったんですけど、「今のプレーのここがよかったな」と指摘してもらいながら和気あいあいとやれて、いい経験になりましたね。


――話を聞いていると結果的にはやりたいと思っていたことは概ねできて、人の縁もあって目的外で+αとして学べたことも多かったという感じでしょうか。ただ、それはそれとして、一方では、事前の準備に関して翔学米の対応やサポートが至らなかった点が多々ありましたが、何か不満点のようなものはなかったでしょうか。


僕としてはヒートのゲームがしっかり観戦が出来て、出来る限り多く現地の人とバスケができる機会があればいいというくらいの認識だったので、特には…。小瀧さんをはじめ、また今度アメリカに行く上でのつながりを得られたのが本当によかったです。




――優しいですね、太田君…。時に、今度アメリカに行く上で…というと、また渡米したいと思っているわけですね?


はい!僕の場合はバスケを将来の仕事と直接結びつけているわけではないのですが、大学に進学した後もバスケは続けたいと思っています。大学が決まり次第、自分でちゃんとお金を稼いで、また渡米して、カレッジやユニバーシティーに潜り込んでがっつりバスケをして経験を積んだり、現地の人と交流が出来れば、と思いますね。


アメリカ合衆国フロリダ州マイアミに本拠を置くNBA(アメリカのプロバスケットボールリーグ)チームの1つ。太田君が初めて見たNBAの試合がヒートの試合で、世界最高峰のプレーのレベルの高さに強い衝撃を受けるとともに、以後このチームのファンとなっていた。


--------------------------------------------------------------------------


インタビューでは十分に表現し尽くせていないところを補足すると、太田君は今回の渡航に関しては並々ならぬ意欲をもって臨んでいました。渡航に対するというよりはバスケに対する態度が真剣そのものだったといったほうが正確かもしれません。今回の渡航は、3年生最後の大会前に本場のバスケを観戦・体感したいということで、夏でも冬でもなくあくまで春先ということにこだわっての渡航でした。翔学金の支給決定からたった4日後の渡航というのは初めてにして最後の事例になるでしょう。
太田君の英語力の自己評価は「同学年の平均くらい」ということでしたが、不思議と英語でのコミュニケーションについては全く心配するそぶりをみせていませんでした。逆にこちらが(ちょっとだけですが)心配していたのですが、実際は言葉の壁をものともせず積極的にバスケを通して現地の人とコミュニティを取るなどしていたようで、そのバイタリティーに改めてほとほと感心させられるインタビューになりました (インタビュアーは仮に英語が出来ても、ストリートバスケの輪に混ざれるか自信がありません…)。