2013年9月1日日曜日

シンガポールで起業を知る [奥川季花]

012年度の翔学米生の奥川さんの渡航体験の概略を許可をもらって掲載させてもらいます。
2013年8月12日~21日までの計10日間シンガポールに滞在してきました。点線以下が体験記になります。


インタビュアー:熊野川翔学米事務局 田斉省吾(早稲田大学2年)
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――渡航10日間はどんな過ごし方をしていたんですか?


初日は到着が夜だったので、ホストファミリーの家に到着後はそのまま休みました。2日目~3日目は勧められたショッピングセンターやマーケットをファミリーから借りたパスを使ってMRT※1を乗り継いで回ってそれだけ1日が過ぎました。イトー&テイアソシエイツの伊藤さん※2に会いに行ったのは4日目です。
5日目以降は新宮で会った大学生の方の先輩で現地法人にお勤めの方に偶然お会いしたり、現地で道を尋ねた人と一緒に行動を共にすることになったりと、その場その場の縁でけっこう行動した面があったのですが、充実して過ごせました。もともと行きたいと思っていたところにも残りの日程を使って全て行ってくることができました。


――自分の現時点での目標を体現している伊藤さんに会ってくるというのが今回の一つの大きな目標だったと思うのですが、実際にお会いしてみてどうでしたか?


お忙しい中多くの時間を割いてくださったので(ご飯も数回ご馳走してくださりました)、貴重なお話をたくさん伺えました。主にどんなお仕事をしているか、なぜシンガーポールでその仕事をされているのかということを中心に聞いてきました。私は伊藤さんをコンサルタント業の経営者という認識で話を聞きに行ったのですが、実はそういう肩書きでは括れないような仕事もなさっていてそれがとても印象的でした。
そして、お話を通して見えてきたのは、経営コンサルタントというのは自分がやりたいこととは実は違うのかなということでした。他の人の会社の経営を助けたりコーチングしたりする立場より、自分も何かの事業を興してその事業でもって社会にアプローチしたいと思っている自分に気づいたんです。話を聞いた直後は起業をしたいという気持ちがあふれてきてすごくわくわくしました。まだ今のところは漠然としたアイデアしかありませんが、インフラの分野で何か起業がしたいなという思いがあり、今後しっかり形にしていきたいです。


志望の進路もそれに沿って少し変わりました。今までは経営コンサルタントになりたいということで経営学部を、それも国公立を中心とした経営学部を考えていたのですが、自分が学びたいことはどちらかというと商学部のほうにより重点があるのではないかと思い直したんです。今は商学部をそして私立にも目を配って受験先を検討しています。経営学部と商学部ってすっきりとした区別はつけづらいところがあって、事実、経営学部は経営学部でも商学部の内容を含む学科がある大学もあったりします。ただ、自分の中の区別としては、経営学は組織全体の効率的な運営を、商学部はその組織でもって取り組んでいくことの中身=商いが実際どのような形で行われているのかを学ぶところだという捉え方でいます。どちらにも興味はあるけれど、今の私は後者の方により興味があるのかなということに気づきました。




――高3の夏という受験が差し迫った時期ではありますが、その岐路の前にそういう体験ができて本当によかったですね。その伊藤さんとの1日をはじめ、特に問題なく10日間過ごせましたか?


いえ、実は困ったことはいろいろありました(苦笑)


まず、格安航空を利用したせいか、中国の空港で乗り継ぐことになりそこで長時間待つことになったのですが、独りでは初めての海外で、最近、日中関係がなにかとぎくしゃくしているということも何となく頭にあったので、何か起こらないか緊張して神経が擦り減りました。結果的に何かに巻き込まれることはありませんでしたが、ただ、居眠りもせず一瞬たりとも気は抜かなかったはずなのに、万が一のために換金せずに持っていた日本円、1万7000円をその時に落としてしまいました(苦笑)


また、ホームステイの受け入れ先(※日本人とシンガポール人女性2人のシェアハウス。うち日本人に関しては翔学米関係者の知り合い)のシンガポール人の女性と意思疎通があまり上手く―特に滞在当初は―できなかったりもしました。さきほどMRTのパスを借りて市内を回ったといいましたが、私は滞在中ずっと貸してもらえると思っていたのですが、それが勘違いで実は向こうは初日限りのこととして貸してくれていたんです。当然怒られてしまい、その時は何とかうまくコミュニケーションを取りたいなともどかしさを募らせていた時期であったことも重なり、泣いてしまったことがありました。ただ、その時に、そのもどかしさを伝えることができて、それ以降はある程度打ち解けて会話することができました。


それと食生活も苦労しました。滞在中は、いろいろな方にたくさんおごっていただいて美味しい思いをたくさんさせていただきました。ただ、それ以外の時で外食せねばならないとき(ホームステイ先の2人のお仕事の都合上、朝、昼は一緒に食べれなかったときが多かったです)下手なものを食べておなかを壊したくなかったので、そういうときは無難なファストフードで済ませてしまったりしたことも多かったです。また、夜ご飯はホームステイ先でいただくことが多かったのですが、それが毎回すごく辛くて、ちょっとそれがおなかに合わなくて・・・。滞在10日間で実は4kg痩せたんです(笑)




――いろいろと大変でしたね…(苦笑)。特にホームステイ先のことについては、こちらで事前にカバーできた部分もあるように思います。ごめんなさい。他に苦労したこと、あるいは苦労したとまではいかなくてもシンガポールに実際行ってみて予想外だったこと、驚いたことはありますか?


そうですね・・・自分の力で道を聞いたり、場所を開拓しようということであえて「地球の歩き方」みたいなガイドや地図の類は持っていかなかったんです。そのせいで目的地より1~2kmずれた見当違いのところに歩いたりもしてしまって困ったりはしました。ただ、シンガポールの人は道を尋ねれば毎回丁寧に対応してくれて、中にはそれが縁で友達になってディナーに誘ってくれた女性までいたりしました。だから苦労といった苦労ではなかったかもしれません。


――渡航を終えて、事前にこうしておいたほうがよかった。あるいはこういうサポートをしてほしかったということはありますか


ホストファミリーのことをもっと事前に深く知っておけたらよかったな、とは思います。事前に趣味や日本で関心のあるものを知っておければ、場合によっては予め用意ができてより深い交流ができた気がします。そこは少し心残りです。
それと、ボランティア活動に参加することを通して現地の人と交流をしたいなと考えていて、事前にそういうことができるところを探してみたのですが、うまく見つからなかったことも残念といえば残念です。




――最後に、ざっくりとした聞き方になってしまいますが、この10日間はいかがでしたか?


すごくよかったです。空港で自分の便を探すところからもう新鮮で…。何から何まで1人でという渡航だったので、後半部分では正直少し寂しい思いもしましたが、なんだかんだで一人で10日間過ごせたことはとても自信になりました。自分の英語は伝わらなかった部分ももちろんあったけど、手ごたえがあったことは少なくありませんでしたし。自分の目標がより明確になったし、友達もできたし、行ってくることができて本当によかったと思います。


※1Mass Rapid Transitの略で、シンガポール国内を網羅する公共の交通機関。


※2現地で経営コンサルタントとして起業した方で、奥川さんが翔学米企画応募当時に今の自身の目標にもっとも近い生き方をしていると感じた方)


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こういう嬉しい体験談を聞かせてもらえるとやはり主催者としては励みになるものです^^

奥川さんには渡航体験を聞かせてもらった他、高校生の視点からのこの企画に対するフィードバックももらいました。今後の運営に生かしていければと思います!